第5章:引き渡しの日、私が感じたのは「感動」ではなく「落胆」

      2015/03/22

工事はほとんど遅れることもなく進み、当初予定していた5月末に仕上がりました。

引き渡しの日には不動産屋のおじさんと、工務店の責任者の立ち会いのもと行われました。やっと出来た家、感動よりも果たして住みやすいのかどうなのか、そして父が入院していた病院から言われていた退院の日にも、なんとか間に合ったことがなによりという気持ちが一番でした。

引き渡しは鍵をあけるセレモニーもなければ何にもありませんでしたが、お祝いとして工務店から掛け時計がプレゼントされ、リビングに飾ってもらったのが唯一のセレモニーだったでしょうか。

家の中を全部確認してくださいと言われ、一応各部屋を見て回ったのですが、まず目についたのは家じゅうのほこりです。

新築の家は最後にきれいにお掃除をして引き渡してくれると思っていたので、まずこれにはびっくりです。手すりやら窓枠やら、どこもザラザラしていて、部屋の隅にはほこりがたまっているところもありました。

そして、2階のリビングの床がキュッキュと鳴っていたり、階段周りに付けた一枚板の手すりに大きな傷が入っていたりしたので、早速工務店の責任者に直すように言いました。

そしてなにより私を唖然とさせたのは、私がこだわって作ってもらった自分専用のウォークインクローゼットでした。

私は両側の壁に、洋服や靴はもちろん、バックや帽子、趣味のものを置く棚を配置したりしたかったので、何度か設計士に「そういう風にできますよね。」と確認をしていたのに、両側の棚の間は数十センチしかなく、引出を目いっぱいあけると人は立つこともできません。もう見た瞬間、涙が出そうになりました。

さすがに工務店の責任者も言葉がなかったようで、気まずそうに「別料金になりますが、直しますか?」と言いましたが、とりあえずそれは少し考えさせてもらうことにしました。

しかも家を建てたあと気がついたのですが、あんなにバリアフリーでと説明したのに、家のどこにも手すりがないし、玄関に靴を履く用の腰掛などもない。そして懸念していた1階のキッチンはやっぱり薄暗い。それに1階の廊下は両側が壁に囲われた作りになっていた為、昼でもほとんど光が入ってこないし、夜ともなるとどこからも明かりが届かないのでそれこそ真っ暗だ。

2カ所出入りできる2階のLDKの片方の出入り口にはスイッチがないから、真っ暗な中向こうの入り口まで行って電気をつけないとならない。上段に電子レンジ、下段は引き出し式で炊飯器などがおけるキッチンの棚にはコンセントがない、洗面所のタオル掛けは洗面台とかぶってしまっているので、タオルが1枚しかかけられないなど、どう考えてもおかしいだろうと思える箇所が山ほどあり、引き渡しの日、私の気持ちを一言で表すとしたら「落胆」という言葉以外ありませんでした。

正直この日のことはあまり思いだしたくないのが本音です。

S家のマイホーム物語

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