第6章:実際に出来た家に住み始めて思ったこと、起こったこと

      2015/03/22

引き渡しの日だけでもおかしいとか、がっかりすることが山ほどあったのですから、住み始めてからはもちろん、数えきれないほどの後悔がありました。とにかく我が家にはちょっとした工夫がされているところがひとつもないと言っても過言ではありません。

知り合いの設計士にお願いして建てたという、お友達の家を見ると、家中の壁全体が収納スペースになっていて、冷蔵庫すら外に出ていなかったり、出窓のところが造り付けのソファになっていたり、リビングの窓全面が外の広いテラスとつながっているのに、洗濯物はお客様から見えないようにうまく造られていたり、家の真ん中に位置するお風呂場には天窓をつけて暗くなく、また換気も出来るようになっていたりと本当に家の所々に様々な工夫がされているのです。

そしてそんな素敵な家を見ると、またがっかりしてしまう私…。

我が家はせっかく周りに何もないのにそれがまったく生かされていない。ベランダに屋根を付けたのですが、そのせいで洗濯物は日陰にしか干すことができません。なんで日の当たるベランダを提案してくれなかったんだろう?

また全体的に四角い家になってしまったので、風通しが悪い。もっと凹凸のある家にして、色んな方向に窓がついていれば光も風もたくさん入ってきたはずです。東北の角に作ったお風呂場は構造上どこにでも窓が付けられたのに、北側に1つだけしかない。東側にしていたら朝日も当たって明るいし、そっちの方が換気だって良かったはずです。

そして我が家の2階の窓からは富士山や箱根の山々を望むことができるのですから、それを生かしたロフトやベランダとか、お天気が悪い日に洗濯物を干しておく専用スペースとか、二世帯分の荷物がゆったりと入る面積に含まれない高さのない収納スペースとか、とにかく細かいストック品や器具が多いキッチンにはパントリーや、勝手口からつながるような物置とか、シューズクロークや、ゴルフバックがおいておけるような玄関収納なんかがあっても良かったはず。

そして引っ越してから起こった2011年の東日本大震災の時は、オール電化にしていたお陰で、計画停電の時は暖房器具などは使えないのはもちろん、お湯を沸かすことすらできませんでした。

こんなことなら自家発電とか、暖炉とか何かを考えて入れていればよかったなと感じましたし、周りに何もない一軒家なんだから、太陽光発電とかを入れていても良かったかもしれません。

でもその時点では、そんな大きな震災が起こるなんて夢にも思っていませんでしたし、そんなものがあることもよく知らなかった私は、どれも暮らし始めてから気が付きました。

そしてなによりこの家で不都合を感じているのが、二世帯住宅として建てたのに、大きな吹き抜けを作ったせいで、音も明かりも全て筒抜けで、お互いのプライバシーを邪魔されるという事態が起きていることです。

両親と私達では寝る時間や起きる時間など、生活スタイルがまったく違います。でも誰かが起きて動き出すとそれはすぐ家全体に響きますし、夜中洗濯物をすると、その音も丸聞こえだし、多少気にしたとしてもこの広い吹き抜けのせいで、お互いのプライバシーを守ることが不可能なのです。

どの本やサイトを見ても「二世帯住宅は親子世帯が協力し合い、楽しく一緒に暮らし、安心感を高めるということ。プライバシーを尊重しつつも、程よい距離感が保てる間取りや住まいづくりが大切」ということが大体書いてあります。しかも間取りから考え始めるなんてもっての外と言いきっているところもあり、そう考えると我が家は大大大大失敗です。

こんないい歳になっても母に「あんな時間までTV見て起きてたの?」とか言われたりするので、ケンカの元になります。

例えどんなにこだわった家だったとしても、実際に住んでみるとそうでなかったと思うことが出てくるものだとは思います。ただ我が家はそれがあまりに多すぎだと思うのです。

ちなみにその頃私はブライダルコーディネーターをしていました。結婚式は人生で初めての経験という方がほとんどで、お客様は何をどうしていいかわからず、ネットで調べたり、ゼ○シィなどの雑誌や結婚情報誌などを見ながら、いくつかの結婚式場を回って会場を決め、それからは会場の担当者を頼って相談をしながら、自分達らしい、素敵な結婚式が予算内でできるよう数々の準備をしていきます。

そしてお客様は知らないがため、無理なことや、びっくりすることを言いだす時がありましたが、私は絶対に無理なことは無理と言いますが、そうでない限りは頭を悩ませ、知恵を絞り、どうやったら出来るかを一緒に考えて、少しでも納得のいく形をそれぞれこだわりの違うお客様に提案をしてきました。

家だって同じだと思うんです。まったく知識がないから、ネットや雑誌などで集めた情報を元に業者を決め、その後はその道のプロ、すなわち営業とか設計士を頼って相談しながら、ひとつひとつを決めて行き、家づくりという一大イベントを自分らしく、納得のいくように予算内で作り上げていくはずです。

自分はちゃんとお客様に提案しているという自信があったからこそ、何の提案もしてくれない設計士、責任者の態度がとても腹立たしく、悶々とする私の気持ちは日々増していき、不信感から怒りさえ覚えました。もうここまできたら良い家なんて建つわけがなかったんですよね。

確かに金額的には始めに出してもらった見積もりから最終的にプラス約100万円では済みましたが、私の満足度からするとその金額はいかがなものかと思います。だってなぜそんなにプラスにならなかったのかは、始め持っていった落書き程度の図面から何も変わっていない証拠だと思うからです。

結局最終的な坪単価は約51万円。大手ハウスメーカーの注文住宅の坪単価は平均70~80万円と言われているので、注文住宅にしてはかなり安い方ではないかと思います。総額で考えたら軽く1000万円以上は違ってきますからね!

しかしです!それなりにおさえた金額で家を建てることはできたかもしれませんが、引き渡しが終わってからこんな追加工事を行いました。

まず、例の私のこだわりのクローゼットはやっぱりどうしても納得できなかったので、壁を壊して広げることにしたのと、1階リビングの外にウッドデッキを作ったりした追加工事が約115万円。外構工事が約120万円。車庫まわりが約120万円。また1年後には母がどうしても勝手口の外に物置のようなスペースがないと不便ということで約70万円をかけてそれも作りました。

これらを全部合わせると約425万円。家を建てていた時は金銭感覚も若干マヒしていましたが、こうみるとすごい金額です。

これだって今思えば設計の時点でなんらかの提案があったら、そういうスペースを組み込んだ家を作ることができて、半分くらいの金額になったんじゃないかと思うと、あの時友達の知り合いの設計士にお願いしていたら…と後悔の気持ちがまた膨らむのでした。

S家のマイホーム物語

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