3章:家の契約をしてから思ったこと

      2015/03/22

家の契約程不透明なものはないと思う。

基本プランを元に契約を交わすわけだが、注文住宅の場合は特に注意が必要なのは、設計者が登場し本格的なプランニングを進めるのは大概契約後になる事が多い。

そこから要望の聞き出しをし設計をするが、いわゆるたたき台のプランで契約を交わしているのでその都度変更追加金額が発生する。

最初の基本プランはいったいどこへ行ってしまったのか?と思うほど変化することもある。追加変更見積もりを提示されてもピンとこない。

壁のニッチや造作で作る本棚は追加工事である事はわかるが、その金額が妥当なのかは判断できない。家の契約はそう何回も行うものでないし、本棚の造作費用だけで合い見積もりを行ったりしないわけで、いわゆるいい値で納得してしまうしかない。

今日は靴を買いに行くと出かけたなら、靴だけに集中し店を回ったり比較したり品定めしたりと金額の妥当性は日常生活上にあるため判断できても、家の場合はそうはいかない。

設計者は次々とプロとして施主の住スタイルを想像しながら次々と提案をしてくる。良い提案も沢山ある。当然オーダーしたくなる。標準とオプションの線引きは確認できても、追加工事の内容に伴う金額の妥当性を確かめる余裕もないのが普通である。

建築の申し込みをし、手付金を支払い、設計者と詳細を詰めながら、見積もりを提示してもらい、最終的に実施できる段階まで来たらいよいよ契約である。というのが理想であると思う。

しかし、ほとんどの場合、契約を急かされハンコを押してしまう。

ハンコを押した瞬間、主導権は建築業者に移ってしまう。ハンコを押した図面はたたき台。当然変更があり、変更に伴い追加が発生する場合が多い。ここでしっかり利益確保する仕組みの業者もいることは否定できない。

照明の仕事をしている私からすると、例えば、ダウンライトの設置に1か所あたり3万円を要求する工事業者は考えられない。だが、現にそういう業者は存在する。

実際工事業者に支払う原価はどのくらいかはわからないが、ダウンライト1個だけ取り付けに動くならわかるが、家づくりの電気工事となるとそうではない。あきらかに乗せすぎである。

そういう建築業者と契約した人はそれが当たり前の金額と思ってしまう。そういう人がたまたまダウンライトの沢山付いている家に行ったらおそらくびっくりするだろう。よほどお金をかけたと思うに違いない。

特に目に見えない部分や素人では到底判断できないものはいったい金額がいくらなのかはわかるはずもない。詳細見積もりを提示する丁寧な業者は存在するが、明細を見てもその品名が何を指しているのか、その品物の金額が妥当なものなのかは判断できない。

ではどうすれば良いのか?

実施できる段階の図面までまず完成させ、それを元に建てられそうな建築業者を探すことである。

たまたま我が家の場合、M社、S社、P社と複数の業者と膝を交えた打ち合わせを短時間の間で経験した。

実行可能なところまで進んだ図面を元にK社と契約した為、普通では追加やオプション扱いの工事も建築費全体の中に入った扱いで、実行することが出来た。

普通はたたき台のプランで契約をするところを、ほぼ実施図に近い図面を元に金額の指値交渉し契約を交わした。もし、最初からK社と契約していたら、細かな追加工事に金額が発生し最終的には坪数を小さくしたか、オーダーしたい造作を諦めたか、設備のグレードを下げていたと思う。もしかしたら、計画した金額よりはるかに多い支払いをしていたかもしれない。

今回の我が家のケースは、住まいに対する思いが強い事がきっかけで、妥協できない理由が明確だった。更に私の仕事の関係上どうしてもオーダーしたい造作工事もあった。

申し込みをしたが契約前で出来ないことを知ったS社や、契約したが予想以上に金額がかかりどうにもならなくなったP社。ある意味現実が見えて実感が湧いてきた段階で梯子を外された状況になり、追い詰められた場面を通過したから、今に繋がったのかもしれない。

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